なぜ電気自動車は普及しないのか?
電気自動車が話題になり始めて随分と時間が経ちますが、まだレシプロエンジンを積んだ自動車ばかりが街を走っています。
なぜこんなにも普及が遅いのか?
それは従来のレシプロエンジンにはなかったデメリットが存在するからです。
今回は電気自動車普及を妨げている点を書いていこうと思います。
給油と比較して充電が遅い
普通の車であればスタンドでの給油は5分くらいで完了します。
しかし電気自動車は蓄電池を劣化させる急速充電でも20~30分かかってしまいます。
ユーザがスタンドでイライラする以上に普及にとってこのことはかなり深刻です。
充電時間が5倍かかるということは、今の普通車と同じ数の電気自動車をさばくためには電気自動車用のスタンドが従来のスタンドの5倍必要ということになります。
少なくとも5分かそれ以下で満充電できる蓄電池が開発されなければ、この問題は解決されません。
通常のガソリン車ですら日曜の都市部のガソリンスタンドは混んでいると思いますので、今のまま電気自動車が普及すると充電スタンドは充電待ちの電気自動車で阿鼻叫喚です。
車両価格の高さと短い電池の寿命
最近では企業の努力もあって車両価格は下がってきましたが、まだまだ電気自動車の値段は普通の車に比べて割高です。
さらに電気自動車は5年くらいで電池がダメになってしまうという宿命を背負っています。
普通の車であればメンテナンスを怠らなければ10年、20年、10万キロ、20万キロと持ちますが、電気自動車は5年程度で心臓部である電池が劣化してしまいます。
高いお金を出して買ったのに5年くらいでまた何百万も出費して電池を交換しなければならず、ユーザにとってのコストパフォーマンスも非常に悪いです。
また電池の生産自体の環境負荷がとても高く、5年程度で電池を交換していかなければならない電気自動車の環境負荷は相当なものです。
電気がそもそも2次エネルギー
電気は元々贅沢なエネルギーです。
発電所で燃料を燃やし水蒸気でタービンを回して発電します。
その際のエネルギー損失はかなりあります。
また発電所から送電線で各スタンドまで送電しますが、その送電でもエネルギー損失がかなりあります。
電気自動車はスタンドで蓄電池に充電した電気でモーターを動かして走行しますが、電気でモーターを回す効率はエンジンより良いとは言えども、その際にも損失はあります。
発電所で発電した電気を使用した場合の電気自動車と比べて、直接燃料を内燃機関で燃やして動力を得る従来のレシプロエンジンの方が結果的に全行程で見た場合は損失が少ないと思われます。
ですので電気自動車はあくまで太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーで発電した電気だけを使用する前提だと思いますが、今ある全ての自動車の電気をまかなうのは難しいと思われます。
不快な走行音
電気自動車は従来の自動車より静かは静かなのですが、モーターのキーンという独特の走行音を発します。
この電気自動車独特の高周波が不快と思っている人や気分が悪くなるという人が実は結構多いです。
また電気自動車は高齢者に気づかれにくいという特徴もあります。
最近のガソリン車やディーゼル車はとても静かな車が多くなってきていますので、電気自動車の静かというメリットは失われてデメリットだけが目立つ結果となってしまっています。
航続距離が短すぎる
都市部だけのちょっとした足に利用するのであれば電気自動車はまだアリなのかもしれませんが、長距離を移動するトラックや大きなバッテリーが載せられない2輪などはまだまだハードルが高いと思われます。
特にスタンドの少ない郊外での長距離移動は怖くて出来ないです。
まだバッテリーの残量はバッテリーが劣化すればするほどあてにならなくなってくるので、さっきまで半分くらい残量あったのに急になくなったとかありえます。
まだまだ不安要素が多過ぎるので都市部使用以外では普及しづらい面がまだまだ多いと思います。
まとめ
電気自動車の課題はまだまだ多いですが取り合えず以下の問題をクリアしないことには大きな普及は見込めないと思います。
- -20度になる地域でも満充電時間5分以下で満充電時の航続距離500km以上にする
- 走行1㎞にかかる充電の費用がガソリンより安くなる
- 電気自動車用のスタンドが郊外も含めて従来のスタンド以上の数になる
- バッテリー性能は10年後でも新品の8割以上を維持している
- 従来の自動車と同じ車格の電気自動車は同程度の価格かそれ以下になる
- 不快な音を外に(少なくとも車内に)漏らさないようにする
これだけの条件が揃えば無理しなくても従来の自動車は普通に電気自動車に置き換わっていくと思います。