VRは何故成功しなかったのか?

2019年4月17日

VRヘッドギアを付けて自転車に乗る女性

数年前はVR元年と称してお祭り騒ぎをしていたにも関わらず、現在はVRを取り巻く状況はあまりよくありません。

VR元年と称していた頃にはテレビにも取り上げられ宣伝効果としては十分だったはずなのに、何故一般層に普及しなかったのでしょうか。

考えられる原因がいくつかありますので書いていこうと思います。

高価すぎる機材

VRの環境をちゃんと整えようとするとVR機材で約10万、対応PCで15~20万と合計で20~30万は軽くかかってしまいます。

VR機器の中でも安価なPSVRでもPS4本体+VRで約8万、PS4本体を所有している人でも新たに約4万の出費が必要になります。

よく開発者の中には「VRを実際に体験すれば必ず欲しくなる」という見当違いな事を言う人もいました。

上記はVR開発者が好奇心の強い人が多く主観でそう思っているだけであって、普及しなかった本当の理由は簡単です。

普通の人はVRを体験して「凄い!!」、「これは未来のシステム」、「VRいいねぇ~」と思っても、実際に30万出して自宅に欲しいかと言われると「いや・・・そこまでは・・・」という人が圧倒的多数ということです。

それに加えてVRを体験していない人は何が凄いのか分からないので好奇心が強く経済的・室内空間的余裕がある人以外VRは購入対象にはなりえません。

サラウンドシアターシステムなどに置き換えてみると簡単に分かります。

サラウンドシアターシステムの体験場で「凄い!」「いい!」と思っても、数十万も出してリビングに空間を確保して家に欲しいかと言われると、家は別に今のテレビでいいやという人が圧倒的多数だと思います。

現在のVRシステムでは頑張ってもサラウンドシアターシステムと同程度の普及率にしかならないということです。

映画館でも置き換えらます。

映画館に見に来ている人全員が高いお金を払って4DXで作品を見たいかというとそうではなく、圧倒的多数の来場者が普通の値段の従来のスクリーンで見たいという人だと思います。

場所の確保

今のVR機器はトラッキングの関係で場所を取りますし、ケーブル類も邪魔になって大変です。

VR機材のケーブル類の無線化も法律の関係で日本ではおそらく遅れるでしょう。

一般の家庭ではその場所を確保し続けるのが難しくVR専用部屋なども用意できない人がほとんどです。

VRを購入できる層は趣味にお金をかけている一人暮らしとか独身者などの部屋とお金を自由に使える人か、広い家に住んでおり部屋が広く好奇心レベルでVR機材を買える社長や役員・役職者とか小金持ち以上の人に限られます。

圧倒的大多数の庶民はVR機材を家に置くという選択肢はまずありません。

一人称視点という縛り

VRのゲームは1人称視点という制約が付きます。

これが意外に作品の幅を狭めて企画する側としてもキツイ部分だと思います。

これを1人称視点の第三者的立場から対戦格闘を行うというゲームもありましたが、VRでやる必要があるのかという本末転倒な結果に終わっています。

テレビのように映像を共有できない

テレビはみんなで同じ映画やゲームを楽しむことができますがVRは難しいという問題があります。

この問題はVRのヘッドギアを全員被っても解決が難しい問題です。

何故なら被っている人によって空間内の見ている方向が違うからです。

視点を固定したり、空間内にテレビを置いてそれを見るという手もありますがVRとして本末転倒です。

また他の人の映像をゲームをプレイしている人の視点にするという手も考えられますが、気分が悪くなってリバース阿鼻叫喚地獄絵図になることは容易に想像できます。

各々のVRシステムで同じ空間にアバターとして存在すれば多人数でコミュニケーションとれるという人もいますがそれは別の話です。

同じ部屋にいる多人数が同じ経験を共有できない限りはテレビにの代わりには成りえません。

開発費が普通の3Dゲームよりかかる

結構切実な問題として普通の3Dゲームを作るより開発費がかかってしまうことが多いです。

イベントシーンなどで視点が固定できる普通の3Dゲームでは見えていない背後のモデル製作は省略できますが、自由に空間を見渡せるVR空間では見渡せる空間内すべての方向のモデルを用意しておかなければなりません。

開発費削減のため視点を固定するとVR作品として出しているのに本末転倒となってしまいます。

3D酔い

通常ではGが作用するような視点移動においてGがかからないと「オエッ!」っとなる3D酔いが主観視点のVRは物凄くキツイです。

人によって3D酔いの程度の差がありますが、作品の作りはなるべく3D酔いを起こさないようにしなければならないので、作品としては自由度が制限されます。

適切なGを感じる装置が開発されればVRもましになると思いますが、今の技術では無理です。

若年層に訴求できない

一番好奇心のある若年層に訴求できないという欠点をVRは抱えてします。

まず前に述べたVR機材が高価であるということもありますし、若年層のVRの長時間使用は斜視を誘発しやすいという問題もあります。

またせっかくVRに興味をもった若者が数年後社会人になってから「経済的にも室内空間的にも時間的にも余裕がでたのでVR買うぞー」とはなりません。

総合的に考えて非常にVRは売りにくい商品だと思います。

まとめ

VR機材が今後の技術革新で「電脳コイル」のようなメガネ(とかコンタクト)くらいまで簡素化して機材が普及して、現実世界と融合させるAR技術が普及すれば一般化すると思いますが、そこまでの技術はもう少し未来だと思います。

VR元年と叫んでいた人たちは好奇心の強い人とか、小金持ちとか、趣味にお金と空間をかけられる人とか世間的に見て大多数ではないと認識すべきです。

VR元年と叫んでいた会社の社長さん達にその認識が無いのであれば、会社の方向性を見誤る可能性が高い社長なので今後が心配です。

VRは素晴らしい技術なので活用していくべきですが、現在の技術レベルでのメリット・デメリットを客観的に把握しておくべきです。

例えば家の新築をする際に間取りや完成後の感じなどを色々変更して確認するのには、VRはとても良い技術だと思います。(そのサービスが儲かるかどうかは別としてユーザ側の利便性はアップする)

現在のVR・AR技術と機材では到底無理ですが、私が死ぬまでに電脳コイルみたいな世界が来ればいいと思っています。