衰退期に入る会社の特徴

2019年3月24日

私が社員として在籍した会社や仕事の取引があった会社の中で、明らかに衰退期に入り始めているとか、最終的に無くなってしまった会社がいくつかありました。

そのような会社には明らかに共通の特徴があると感じましたので、その特徴を説明していきたいと思います。

特徴

社長の求心力低下

創業してから会社が軌道に乗り成長していく時の社長には魅力がありましたが、会社が安定期に差し掛かる頃になると尊敬できなくなって魅力がなくなっていることがよくありました。

一言でいうと社長が他人に厳しく自分に甘くなってきて、一例ですが具体的には以下のような事で周りから見ていても急速に社長の求心力が低下するのを感じました。

  • 創業当時のような役員(経営者)と従業員では役割が違うだけで一緒に仕事をするパートナーという感覚が薄くなってくる
  • 夜は会社の経費で遅くまで飲み歩き朝は会社に来ないとか次の日会社に来ないけど、社員の遅刻や出勤にはとても厳しい
  • 稟議の必要な高価なものを自分用に簡単に買うが、他人の場合はしぶる、条件が厳しいなど
  • 自社の製品やサービスに昔は社内で1、2位を争うほど詳しかったのに、全然詳しくなくなり自分の私生活で自社製品やサービスを全く使っていない
  • 社員が多くなっても会社が小さい頃の社長が社員を評価しているという感覚が抜けず、社長が多数の社員から行動などを常に見られて評価されているという感覚がない、薄い
  • 成功は自分の手柄、失敗は現場の責任にすることが多くなる
  • 自社製品やサービスに詳しくなくなっているのに、その事業に必要な権限を必要な人に委譲できない
  • 自社製品やサービスに詳しくなくなっているのに、余計な一言を思い付きで言って現場を混乱させた挙句、そのことに気づかない
  • 軌道に乗っている現在の状況にあぐらをかいて勉強せず、将来の成長計画やリスク対策に向けての組織作りや仕組み、設備投資に動いていない、動くのが遅い
  • 能力や適材適所で幹部を配置するのではなく、自分と一緒にいて居心地の良い幹部(能力ではなく口の上手い太鼓持ち)で周りを固めるようになっているが、そのことに社長が気付いていないか薄々気づいてはいるがこのままでいいと思っている

などなど、挙げた以外にも細かいことはたくさんありますが、リーダーとしてふさわしくない行動が目立つようになってくると赤信号だと思います。

幹部の求心力低下

社長の求心力低下と同じですが、幹部も同時に求心力低下する場合が多かったと思います。

これは社長が周りの幹部を太鼓持ちで固めていることと関係しているのかもしれません。

幹部としては社長に気に入られることだけが優先課題となっていると感じました。

  • 勉強しておらず重要なことを判断できない、具体的な指示ができない
  • 仕事は部下に丸投げ、手柄は自分、責任は部下、部下は都合のいい作業員
  • 自分の周りを居心地の良いイエスマンで固める
  • 何かうまくいかなかったとき現場の人間を叱るだけで「うまくやれ」としか言わず、どうリカバリーするか具体的な指示をしない、一緒に考えない
  • 責任回避能力が異常に高く、責任者の幹部の責任にはならず現場の責任にする
  • 問題があると分かっていても社長から言われたことにはイエスマンであり、問題を分かりやすく説明して社長と交渉しない
  • 重要な情報を部下に降ろさない、社長に上げない

私が見てきた幹部のパターンは社長の行動が幹部の行動にそのままつながっていることが多かったです。

問題意識のある社長に苦言を呈するような優秀な幹部は、早々に会社から去るか幹部を降ろされ、結果として上記のようなリーダーとしてふさわしくない幹部が残ることが多かったと思います。

一言でいうと自己保身に熱心な幹部ばっかりになったという実感がありました。

そんな幹部だと「使えない幹部」「頭の悪い幹部」「尊敬できない幹部」「従う意味がない幹部」と思う部下が多くなり、このような幹部の下でがんばろうと思う人も当然いないので事業もうまくいかず、会社に残る理由を見いだせず去っていく人も多くなりました。

頻繁に組織変更

目に見える形で分かりやすいのが衰退している会社は組織変更を頻繁に繰り返すということでした。

そのたびに社長を含め幹部の責任はうやむやになり、ひどい場合だと一番責任を取らないといけない幹部が組織変更で出世しているというパターンもありました。

そしてその幹部の指示の下で作業をしていた現場が、評価査定で低い評価をもらったりして去っていく人も多くなっていったと思います。

福利厚生縮小や経費節約

会社の福利厚生として利用できていたものが、幹部の無駄遣いよりも先に急速に縮小してきました。

幹部は出張という名目で会社の経費で毎週飛行機に乗り地元に帰る一方で、長期出張中の部下の一時帰宅に会社の経費で飛行機をとることがなかなか認められなかったり、現場にあった無料で飲めるコーヒーが廃止されたりすることも経験しました。

最終的に会社の経費面でも節約がはじまり、あらゆる決済が通りづらくなりました。

組織変更と共に福利厚生関係は早期に目に見える部分なので実感として分かりやすかったです。

私はこの時期に転職先を調べて吟味することが多かったと思います。

各地の事業所閉鎖

これはいよいよ会社ヤバいのかなと直接感じる部分でした。

こっそりと会社が各地の事業所閉鎖に向けて動いていて、社員の転職あっせんを裏ですすめていました。

情報が関係ない社員に漏れないよう必死に隠しているのも何となく分かりました。

社員を信用せず隠してコソコソとしていたことが、事業所閉鎖が会社全体に明らかになって表立って口にはしませんが社員の反感をずいぶんと買っていたと思います。

事業所閉鎖は転職先をさっさと決めないといけない具体的な信号だと思います。

賞与なし

会社には終末観が漂っており、いままで出ていた賞与が出なくなりました。

この頃になると会社を辞める人の情報がひっきりなしに流れてくるようになりました。

基本的に給料も査定でほぼ社員全員、一律の割合で下げられることもありました。

この時期には会社に赤信号が灯っていると見ていいと思います。

早期退職またはリストラ

具体的な人員減らしが始まり、他の会社に行ける仕事ができる優秀な人から会社を辞めていくようになりました。

残るのは仕事のできない社長や幹部のご機嫌取りばかりになったと思います。

私はこの段階にくる前に転職先も決まっておりさっさと転職しました。

まとめ

会社の衰退の一番の原因は社長にあると考えます。

会社が調子いい時にもすでに社長の行動に兆候が表れていることが多いと思います。

社長の行動や考え方が変わらなければ、経験上ほぼ間違いなくその会社は遠くない将来衰退すると言えます。

会社の従業員であれば、社長や幹部の言動や考え、社内の情報にアンテナを張り巡らせ、いざという時にすぐ行動できるようにしておきましょう。

社長や役員といった経営者や、執行役員や部長といった会社の幹部であれば、自分に兆候が出ていないか客観的に判断すれば組織の劣化を防げることが多いと思います。

私の経験上の話なので会社衰退の特徴として当てはまらないことも多いかもしれませんが、兆候が少しでも見られたら注意しておくことに越したことはないと思います。