Linuxカーネルの近年の主な変更点まとめ
近年のLinuxカーネルバージョンで何が変わったのか気になったのでまとめてみました。
目次
Linuxカーネルの主な変更点
※バージョン番号の後ろのカッコ内はリリース年月日
5.2 (2019.07.07)
- Sound Open Firmware(SOF)コアをマージ
- BFQ I/Oスケジューラーの性能を大幅に改善
- PSI(Presure Stall Information)の強化
- mountAPIの再設計(新規に6種類のシステムコールも追加)
- ext4に大文字小文字区別なしファイル名参照オプション追加
- xfsにヘルスレポートインフラのサポートの追加
- btrfs、ceph、cifs、fuse、nfs、afsなども強化
- ARM Maliアクセラレーター向けコミュニティドライバー2種追加
- Microarchitectural Data Sampling(MDS)脆弱性に対応するCPUバグ保護
- レガシーのIDEドライバー非推奨
5.1 (2019.05.05)
- 非同期I/O向け高性能インターフェイスio_uringの導入
- NVDIMMなど物理的な永続メモリをRAMとして利用できるよう機能強化
- ライブパッチに累積パッチ機能を追加
- fanotifyを強化し「super block root watch」機能を導入
- LSM(Linux Security Module)を強化
- SafeSetID LSMモジュールを追加
- FCAPS v3のサポート追加
- Habana LabsのAI Processors(AIP)のドライバサポートを追加
5.0 (2019.03.03)
- Arm big.LITTLE向けスケジューリングの追加
- AMD FreeSync/VRRのサポートを追加
- Adiantumファイルシステムの暗号化を追加
- Btrfsのファイルスワップのサポートを復活
- cifs、f2fs、autofsなどの強化
- Android Binder IPCドライバ向け擬似ファイルシステムbinderfsの追加
- seccompの強化
- NVIDIA GeForce RTX 2000などのドライバサポート追加
4.20 (2018.12.23)
- btrfs性能の強化
- F2FS、FUSEの強化
- 「PCI peer-to-peer memory」のサポート強化
- taprioトラフィックスケジューラーの導入
- コード内のVLA(可変長配列)を完全削除
- 新しいデータ構造XArraysの導入
- コードのクリーニング
- AMD PicassoとRaven 2のサポート
- Vega 20やIntel Icelake Gen 11グラフィック対応
- 「Hygon Dhyana」や、中国独自CPU「C-Sky」のサポート
- Raven Ridge向けVCN JPEGアクセラレーションのサポート
4.19 (2018.10.22)
- IEEE802.11ax(WiFi 6)の暫定サポート
- キュー管理システムCommon Applications Kept Enhanced(CAKE)の導入
- 最小限のI/O遅延保証を目的とする最新のコントローラーを導入
- 非同期I/Oポーリングインターフェイスの追加
- EROFS(Enhanced Read-Only File System)の実験的サポート
- BTRFS、XFS、EXT4などの強化
4.18 (2018.08.12)
- FUSE(Filesystem in Userspace)特権なしの非特権ファイルシステムのマウント
- 「Lustre」ファイルシステムのサポート廃止
- Btrfs、F2FSなどの強化
- Speckファイルシステム暗号化のサポート
- ユーザー空間の並列処理用Restartable Servicesシステムコールの追加
- セキュリティ機構AppArmorの監査ルールフィルタリングのサポート
- 2038年問題への準備関連の作業
- パケットフィルタリングファイアウォールに「BPFILTER」をマージ
- ゼロコピーTCPを受け取るAPIを新規追加
- 高性能ネットワーク向けのAF_XDPメカニズムの導入
- 「amdgpu」ドライバーのサポート強化
- Intel Icelake関連の強化
- コードの軽量化
4.17 (2018.06.03)
- Blackfin、CRIS、FRV、MN10300など8種類の古いアーキテクチャのサポート削除
- POWER4/POWER4+をサポート対象外化
- Andes NDS32アーキテクチャを新規サポート
- NVIDIA Tegra Xavier SoCの初期サポート追加
- IBM s390にSpectre脆弱性に対する保護を追加
- コードの軽量化
- CPUスケジューラーの読み込み予測の改善
- Linux Kernel Memory Consistency Model(LKMCM)の追加
- アイドル時の省電力改善
- F2FSの性能と整合性の強化
- EXT4に悪意あるコンテナイメージからの保護を追加
- XFSにlazytimeサポート追加
- 次期AMD Radeon Vega 12 GPUのサポート
- AMDGPU DC(Display Code)をデフォルトで有効化
- IntelのCannonlakeサポートをデフォルトで有効化
- Intel HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)のサポートをマージ
4.16 (2018.04.01)
- arm64、IBM z S390などでSpectre、Meltdown関連の修正
- ARM暗号化の強化
- Intel CPU L2キャッシュパーティション、POWERメモリ保護キーのサポートなどの強化
- ユーザー空間ホワイトリストのマージ
- Hyper-VゲストでのPCID(Process Context Identifiers)サポートを有効化
- EXT4、F2FS、AFS、XFS、Btrfsなどでの修正や強化
- inode i_versionの強化によるI/Oの速度の改善
- VirtualBox Guestドライバのマージ
- KVMでAMDのSecure Encrypted Virtualization(SEV)機能をサポート
- printk()の処理を複数のCPUに分散するよう変更
- gcc-pluginsインフラでのGCC8のサポート
- AMDGPU DCでマルチディスプレイ同期をサポート
- NVIDIA Jetson TX2ディスプレイのサポート
4.15 (2018.01.28)
- CPUの脆弱性Meltdown及びSpectreへの対応
- IntelのUser Mode Instruction Preventionのサポート
- CPUの使用制限を改善するコントローラーの追加
- AHCIのALPM(Aggressive Link Power Management)の不具合改善
- RISC-Vアーキテクチャを新規サポート
- AMDのGPUドライバーamdgpuの対応強化
- AMD Secure Encrypted Virtualizationの初期サポート追加
- mmapシステムコールに2種類の新規フラグ追加