【ゲーム業界】日本一ソフトウェアがMSワラント株を発行し人件費に充当
日本一ソフトウェアといえばゲーム業界でも有名な会社ですが、5月17日にMSワラント株を発行して開発スタッフの人件費に割り当てると発表しました。
日本一ソフトウェアとは
日本一ソフトウェアは元サン電子スタッフの共同出資で出来た有限会社プリズムから始まった岐阜県各務原市に本社を置くゲーム会社です。
有限会社プリズムから営業業務を分離して有限会社プリズム企画が設立され、さらに開発業務も移管され社名を日本一ソフトウェアに変更しています。
そしてしばらく後に有限会社から株式会社に組織変更を行いました。
現在ではグループ企業としていくつかの子会社を持っています。
社名の由来は「それぞれが誰にも負けない才能を持ち寄ることで、今までにない面白いゲームを作りたい」という理念に基づいています。
近年の代表作としては「ディスガイアシリーズ」や「流行り神シリーズ」などがあります。
MSワラント株とは
上場企業が資金調達する方法には主に「増資」と「借り入れ」があります。
通常の場合、「増資」は「公募増資」によって投資家から資金を集めますし、「借り入れ」については銀行から借り入れを行います。
しかし赤字が続いているなど経営状態が悪い会社は信用力がありませんので、上記のような通常の資金調達は困難となります。
そこで株に特典を付けたり安く売りだしたり株の引き受け手(買手)が得をする「MSワラント」と呼ばれる権利を付けて増資を行います。
上場企業はその場しのぎで資金調達できるけど、当然のごとく株価は下落しますので既に投資をしている株主が損をする増資であり、投資家の信用を落とす諸刃の剣となります。
何が起きているのか
日本一ソフトウェアはMSワラント株を発行して市場の信用を失ってまで開発スタッフの人件費を調達しなければならない状況から見て、資金繰りに困難をきたしていると推測できます。
長い期間大きな開発費をかけて発売して売れたらやっとお金が入るゲーム会社は特に資金繰りに苦労することが多いと思います。
ヒット作に恵まれないと開発中のゲームが世に出る前に会社をたたむことも珍しいことではありません。
かつてのハドソンも取引銀行が破綻したため一気に資金繰りが悪化し、コナミに吸収される結果となりました。
MSワラント株に手を出してまで開発スタッフの給料を確保する姿勢は従業員側としては素晴らしい会社ですが、株主側としては未来のない会社になったことを意味します。
少しでも多くのゲーム会社が残ってほしいと思っていますが、日本一ソフトウェアの信用力は底をついたと言えますので現実は厳しいと思います。
ゲーム業界の未来のために日本一ソフトウェアが良い方向に行くことを願っております。